Cherry Blossom 2002
(桜のギャラリー2002)

Silence of Weeping Cherry (枝垂れ桜の静けさ)
枝垂れ桜は英語で「Weeping Cherry」と呼ばれます。Weepingとは「枝垂れる」という意味ですが、本来の意味は「涙を流す」です。その英名の様に、枝垂れ桜には染井吉野には無いような切なさ、慎ましやかさ、淑やかさが漂っていると思います。2002年の春に3つの枝垂れ桜を撮影しました。その中から私が心で感じた枝垂れ桜の姿に近い写真を選んでみました。
広島県佐伯郡湯来町の枝垂れ桜
月夜に静かにたたずむ枝垂れ桜です。月夜では蒼く発色するコダックE100VSの特性を活かし、適正露出よりも大幅にアンダーに露光して、荘厳な雰囲気に仕上がったと思います。風のほとんど無い夜明けでしたが、長時間露出ではさすがに僅かなブレがあり、すこし甘い描写になっています。
個人的には2002年で一番「ドキッ」としたカットです。E100VS独特の深い藍色の中に漂う枝垂れ桜の花の妖艶さは、原版上ではうっとりするほどです。
一枚目と同じアングルですが、こちらは薄明が始まり、枝垂れ桜本来の色味が現れました。一枚目とは別の意味での魅力があると思います。依然として背景は蒼く描写され、枝垂れ桜の物悲しい雰囲気が漂っていると思います。
個人的に枝垂れ桜の一番美しい撮り方はこの撮り方だろうと考えています。中でもこのカットは美しき女性が静かに、しかし華麗な舞いを見せる、そんな印象を抱かせます。
貴婦人の様な湯来の枝垂れ桜の全景です。端整な形、淡く透明な色合いの花、どこから見ても美人です。
日中の枝垂れ桜は明るい表情を見せます。しかし彼女に合う光は青空の下の直射光ではなく、ちょっと薄曇りの柔らかな光でしょう。明るくも慎ましい女性を思い浮かべて撮りました。

広島県山県郡の枝垂れ桜
湯来の枝垂れ桜が貴婦人だとすれば、こちらは清楚な美人という感じの枝垂れ桜です。この日は曇っていて時折小雨が舞う天気でした。その為に桜が白い透明感をもって表現できています。

(この桜は個人の敷地内にあるもので、持ち主のご希望により場所の公開は控えさせていただきます。)

小雨の舞う合間に、ホンの少しだけ薄日が差し込みました。その時を逃さず、可憐な花の姿をフィルムに収めました。
私の一番好きなアングルももちろん撮影しました。湯来の枝垂れ桜とは異なり、より清楚な感じに表現されています。
しかし、桜が変わると最も美しいアングルも変わります。3時間ぐらいこの桜と対峙して見つけた最も美しいと感じたアングルはこれ。地面すれすれにスカートを翻したような姿がとても気に入っています。

山口県岩国市・吉香公園内の枝垂れ桜
この枝垂れ桜も単独では綺麗ですが、周りに民家や不釣り合いな造作物があるので絵にしにくい被写体でした。ここでは趣をかえて心象的な写真を二枚選びました。こちらは夢の中の映像というイメージです。
こちらはちょっともの憂げな風景というイメージで捉えました。タングステンフィルムを用いています。