(とんぼ返りイタリア出張記4の続きです)
オレンジ色の街灯のある交差点撮影を済ませて、また目的もなく歩き出しました。1kmぐらい住宅地を歩き続けると、地下鉄の駅にたどり着きました。駅といっても小さな道沿いに地下への入口階段が有るだけです。赤字にMの文字は、マクドナルドの看板ではなく、ミラノの地下鉄路線を示す記号だそうです。そこでもまたワンカット撮影しましたが、その頃から空が明るくなりだしました。その空のほのかな明るさ、夜明け前の暗さ、街灯の滲み、地下鉄の入り口の光などがきっちり再現出来るように露出を小まめに変えて段階露出しておきました。機材を沢山持って歩けるときには、スポットメーターなどを使って露出を決め込むことも可能ですが、軽量機材で撮影する時には、段階露出を沢山しておくことが失敗を防ぐことになります。ましてミラノでの撮影は撮り直しができないので、これは大切な事です。ここでのカットの結果は満足すべき物でした。
やがて急速に空が明るくなってきました。私はさきほど撮影出来なかった教会を思いだし、また来た道を戻りました。そして教会撮影。竹内敏信さんの指南通りに、近景にポイントを置いて霧の中に霞む教会を撮影しました。ただ、出来上がりはイマイチですね。
夜が明けて、やがて街灯は消えました。そしてメインストリートには会社に向かう通勤車が走り出しました。私は交差点の中央分離帯の所にカメラを添えて、通勤に向かう車のテールランプを長時間撮影してみました。ヨーロッパでは車にはリアフォグランプという、赤いフォグランプがテールランプの中に組み込まれています。朝霧の中で車はそれをつけて走るので、テールランプの光跡は二つではなく、ひときわ明るいリアフォグランプを加えた三つになります。交差点で車が来るとシャッターを押すという事を繰り返していたら、ある一台(ホンダ・シビックでした)がウィンカーを出して次の交差点を左折しました。その結果とてもおもしろい光跡の写し込まれた写真が出来上がりました。
普段、三脚は大きくて重い物でないとダメだと仲間には言っています。それは事実ですが、小さくて軽い三脚でも工夫をすればちゃんと写真は撮れます。「工夫」としてはリモコン(ケーブルレリーズ代わり。EOS100にはケーブルレリーズが無いのです)とミラーアップ(シャッター作動前にミラーを上げて、その震動が止まってからシャッターを切る機構)を併用し、かつ中途半端なシャッタースピード(ブレの震動時間に近い1/8〜2秒ぐらい)は使わず、可能な限り長時間露光を心がけています。僅か1580円で買った三脚と500円で買ったリモコンですが、今回の様に荷物をあまり持って行けない状況で百人力の威力を発揮してくれました。実は、3年ぐらい前の欧州出張の時に、カメラを持っていったものの三脚を持って行かず、全く撮影にならない苦い経験がありました。その反省から海外出張には常に超小型三脚を携行することにしました。
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