買ったものは出来るだけ長く使いたい...KENはそんな気持ちが強い男です。1977年に買って以来25年間、毎冬着用してきたセーターとか(袖が擦り切れてこの冬に引退)、1983年にタイムバーゲンで買ったコートとか(19年間着用中、そろそろ引退)、1984年に買ったジャンパーとか(18年間着用中)...一つ前の車は5年落ちの中古を10年乗ったり(15年目にエンジンが逝った)、イジェクトメカニズムが壊れてから更に6年間使いつづけたオーレックスのカセットデッキとか(シャシーに穴を開けて、手でイジェクトできるようにした。しかし走行系まで逝ってしまい、引退)、1995年に買ったMacintosh
LC-475(68LC040、non Power PCの25MHz)を未だにビジネスで使っていたり(4回内蔵電池を交換)、一番古いリーガルシューズは娘の年齢よりも上だったりします(既に合うヒールが無く、段違い、色違いヒールで履いてます).....長年愛用しているモノを挙げたらキリが無いです。多分、みなさんにも少なからず長年愛用しているものって、ありますよね。
今回は、私が長く使う為に気をつけるべきと思っている事を幾つか書いてみます。多少カメラから話題が逸れるかも知れません。またこれは人それぞれにノウハウ、考えがあるでしょうし、長く使うために却って余分な出費が嵩んだりしますから(本末転倒?)、あくまで参考に留めてください。
第一話の主題はゴムと樹脂ですが、その前に
0.専用電池、専用消耗品を使う機材は避けて通れ...
という教訓があります。詳細はつぶやき117(リチウムイオン電池の光と影)をご覧ください。
さて、本題....
1 ゴムと樹脂には気をつけろ
先日、中古で購入してから約10年使ったCDプレーヤーが使えなくなりました。故障はトレイの開閉不能です。実は3年前からトレイが開閉しなくなっていたのですが、トレイに取っ手を貼り付けて手で開閉していました。しかしついにそれも出来なくなってしまったのです。故障の原因はCDメカを駆動するゴムベルトの寿命です。最初にトレイ開閉ベルトが逝き(この時点では手動開閉可能)、その後CDピックアップメカニズムを上下させるベルトが逝ったのです(これによりトレイのロックが外れなくなりました)。
メカニズムにゴムベルト、ゴム部品を使っている機材は沢山あります。ゴムの寿命は概ね5年から長くても10年ぐらいなので、多くの機材がそれぐらいの年限で多かれ少なかれ不調になります。そのゴム部品がシャシーの底の脚の様な、振動吸収や傷付き防止を目的としたものであれば、ゴムの寿命が来てもとりあえず使用を継続できますが、駆動メカニズムや、液体/気体の循環系、あるいはそのシール材に用いられていれば寿命と共にメカの空転、液漏れ、圧力低下などにより使用できなくなります。
私が今までゴムの寿命と共に修理や買い替えしてきた代表的な機材に、カセットデッキ、ビデオデッキ、LDプレーヤーなどがあります。いずれもメディアの回転駆動と、その出し入れ(ローディング&イジェクト)を電動で行うもので、ほぼ例外なく駆動系メカにゴムベルトが用いられ、一つの例外もなく2〜8年で不調になりました。これを修理しようと思っても、旧・通産省(現・経済産業省)の指導で補修部品の保有年限を製品ごとに5〜10年と定めるという制度があり、計ったようにゴムの寿命と同じぐらいですから、部品が入手できずに修理不能ということがあります。ですからゴム部品を使っている機材は不調になっていないとしても、補修部品が無くなる前に一度オーバーホール(メーカーに具体的に指示して、ゴム系部品の交換を依頼)した方が良いでしょう。また、その時交換した部品をもう一式注文して保管しておくと次回故障時(必ず来ます)に役に立つかも知れません。但しゴムの経年劣化を防ぐ為に保管方法には一工夫必要です。紫外線、高温、薬剤、湿気、空気はゴムを傷める原因になります。また折れた形で保管すると永久変形してしまいます。
※私のビデオデッキが現在5年半なので、そろそろオーバーホールしようかと思っています。交換するのはテープ系の駆動ベルト、ピンチローラーなどです。
※前述のCDプレーヤーの修理に際しては、駆動系ゴムベルトの予備を1セット入手し、現在完全密封、遮光、除湿状態で保存してあります。
さて、この話をカメラに振り向けるとどうなるでしょう。
ゴムですが、現在のAFカメラには結構使われています。EOSの場合、静音設計したカメラの多くがフィルム給送のベルト駆動、及び駆動メカニズムのゴムによるフローティングマウントが施されています。これらのゴムの寿命も半永久というわけにはいかないでしょうけど、故障したという話は聞いたことがありません。EOSの駆動ベルトはケブラー入りとかで、寿命の点は長いのでしょうか。
フラッグシップ機にはシーリングゴムが各所に使われています。ジャンクEOS3を分解した経験からすればごく普通のゴム部品、半永久的に変質せず弾力も失わないような特殊部品には見えませんでした。しかしこれは寿命が来ても雨の中でも無い限り使用が可能だと思います。まあ、気持ち悪い人は5年目ぐらいにキャノンに相談してみた方が良いかもしれません。ただ交換修理費は安くないと思います。
そうそう、初期型EOSに有名なシャッター不良も、ストッパーゴムの変質が原因です。
ゴム以外にも注意すべき材質として、一部の樹脂とか、合成素材、皮革、それに「糸」があると思われます。モルトプレーンが経年変化(加水分解)でベトベトになったのはご存知の通り。また昔のカメラには露出計とシャッターの連動メカニズムなどに糸が使われていることがありますが、これが切れたりして故障に至ることも有名です。しかし、最近のカメラには「樹脂」を除けばこれらの材質は使われなくなってきたようです。
樹脂で是非注意して頂きたいものに、グリップ部などに用いられるソフトな風合い、肌触りを持ったもの(一見、表面ゴム張りの様な感じのものです)があります。ある方からEOS100のグリップ部のこの樹脂から油が吹き出してベトベトになったとの報告がありました。私自身も、ソニーのHi−8ハンディカムTR−705のカセットドア上面(カメラを持った時に右手人差し指、中指、薬指がかかる場所)のソフトタッチの樹脂が油を吹いてベトベトになり、使用不能になりました。またゼロ・ハリバートンのエクゼクティブアタッシュの前の型(1990年頃に購入)のグリップ部も油を吹いて使用不能になりました。内装本皮張りのこのジュラルミン・アタッシュに10万円も払って6年ぐらいしか使えませんでした.....(怒)
一見カッコイイこのソフトな風合いの樹脂、賢人は避けて通った方が良いみたいです。
続く
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