ローアングル撮影の神器と言えば、ローアングル三脚とアングルファインダーですが、更なるローアングルを目指して、超小型三脚やクランプヘッドをつぶやきで紹介してきました。そしてビーンズバッグはそれらの神器を凌駕する低さ〜ほぼ地面の高さでカメラを安定させ、かつアングル調整も可能にする原始的なグッズです。これには市販品もあり、かつてミノルタから3000円ぐらいで販売されていましたが、KENが調達するとなればコストは100円か、限りなくそれに近いものを目指します(笑)。ただ今回紹介するアイデアは新しいものではなく、既に私の友人が使っていますし、皆さんの中にも活用している人は多いと思います。
作りかたは簡単、自由に変形出来る適当な袋の中に適度な硬さを持つ小さな粒を入れるだけです。私は100円ショップのダイソーで洗濯ネットを調達し、パイプマクラの補充用パイプをホームセンターで買ってきました。
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洗濯ネット(左)は形状が筒に近いもので、幅21cm,長さ25cmの物です。タムロン90mmマクロには丁度良い大きさですが、180mmクラスのマクロを使うならもう少し長さの有る方が良いかも知れません。
パイプマクラの補充用パイプ(右)は500円。幾つか比較したもののうち、最も硬いものを買ってきました。柔らかいものだとカメラが安定しません。補充用とは言え結構量があり、3〜5人で使っても余りそうです。枕の詰め物にはマイクロビーズとかも有りますが、柔らかすぎるのでビーンズバッグには向いていないと思います。 |
洗濯ネットには色々な種類がありますが、購入時の注意点としては、レンズを付けたカメラ全体を支えますので、サイズが幅20cm程度、長さ20〜30cmぐらいは有る事と 〜これが肝ですが〜 厚み、マチがある物を選ぶ事です。洗濯ネットやそれに類する袋状のもの(メッシュケースなど)には平面の素材を二枚縫い合わせた書類ケース状の薄いものがありますが、これだと袋の変形量に限界がでて、カメラのアングル調整が難しくなります。私はダイソーで筒状に近い「ストッキング専用洗濯ネット」を買ってきました。価格はもちろん105円です。
パイプマクラのパイプは手芸店、寝具店、ホームセンターなどで入手出来ますが、ビーンズバッグには余り量を必要としないので、枕一つ分ではなく、補充用として売られている小さな袋入りの物が良いです。価格は300〜500円位で、それでもビーンズバッグ3〜5人分にはなりますので、仲間と共同で購入すると一人当たりのコストが安くなります。また複数のお店で比較すると、パイプにも硬め、柔らかめと種類がありますので、出来るだけ硬いものを選びましょう。柔らかいパイプではカメラを添えた時にふらついてしまいます。私は硬めの補充用パイプ(枕1/3分見当)を500円で入手しました。
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左の写真はビーンズバッグを真横から見た状態ですが、御覧のように洗濯ネットに厚み(マチ)があり、実際の現場で使いやすくなっています。パイプは比較的タップリと入れましたが、パンパンに入れてしまうと変形出来なくなりますので、余裕を持たせて入れるのがコツです。
右の写真は使用状態。御覧のようにほぼ地面の高さで向けたい方向にカメラ&レンズを向けて固定する事が出来ます。カメラの向きは手でパイプマクラのパイプを変形させて調整します。 |
洗濯ネットにパイプを入れれば完成ですが、パイプの量はカメラを実際に置いてみて使いやすい量に調整して下さい。カメラの底面とレンズの底面には高さの差がありますから、ビーンズバッグはこの高さの差を埋められないとカメラを水平に維持出来ません。だからある程度のパイプの量が必要ですが、逆に入れ過ぎてしまうとバッグが変形出来なくなって使いにくくなってしまいます。上の写真でも分るように、ビーンズバッグを自由に変形させてカメラのアングルを調節する為には、厚み、マチのある洗濯ネットが適しています。
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節分草撮影での使用状況です。右の写真でお分かりのように、ビーンズバッグでカメラをほぼ地面の高さに添えながら、アングルも調整出来ています。この高さでもレンズの直ぐ目の前に有る節分草はレンズ中心の高さよりも低い事がお分かりになりますでしょうか?
左の写真で私の左膝にはめているのが、ローアングル撮影のもう一つの神器、園芸用のひざ当てです。ダイソーで105円で販売されています。これで朝露でぬかるんだ地面に気兼ね無く膝をついてファインダーを覗く事が出来ました。 |
2006年の節分草撮影でこのビーンズバッグを初出動させましたが、使いやすかったです。花のマクロ撮影はどれだけカメラを低く構えるかが撮影の一つのコツだと思っていますが、ビーンズバッグによって得られるアングルは三脚では不可能で、背の低い節分草相手に、前後の節分草の花を活用した豊かな前ボケ、後ボケを得る事が出きました。節分草の高さはカメラの高さの半分程度しか有りませんから、カメラをほぼ地面の高さに添えない限りこのような他の節分草による前ボケ/後ボケは実現できません。
私が撮影に行った時に他の若いカメラマンもビーンズバッグを持っていました。お互いに相手のビーンズバッグを見て「む、おぬし出来るな!」と思った事は言うまでも有りません(笑)。上の写真を見て頂いても分りますが、節分草撮影で普通の大きさの三脚は無用の長物です(花の背後に汚い地面を写したいなら別ですが)。
そうそう、最後にもう一つのローアングル撮影の神器を紹介しましょう。カメラを地面の高さに添えると、アングルファインダーをもってしても中腰でファインダーを覗く事が非常に苦しくなります。そこで私はダイソーで105円で売られている園芸用の膝当てを使ってみました。結果は極めて効果的で、朝露でぬかるんだ地面に遠慮なく膝をつく事ができ、楽にファインダーを覗けました。安価なものなので、両膝、両肘に装着すると寝そべるようなスタイルでも衣服の汚れを気にせずファインダーを覗けると思います。
2008年4月5日追記
ビーンズバッグの持ち運びに便利なアイデアを紹介します。
私のビーンズバッグ(洗濯ネット)には干す時用にヒモがついています。カーテンに付いてくる吊り金具をジーンズのポケットに挿して、そこにビーンズバッグのヒモを引っ掛けたら持ち運びが楽になりました。
カーテンの吊り金具はご家庭にひとつぐらい余ってますよね。 |
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EOS3, Tamron SP-AF90mm F2.8 Macro, F2.8, AE(+0.3EV, 1/250sec.),
RVPF, ビーンズバッグ使用
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