前回つぶやきからの続きです。
レンズが見つからない...
2002年の5月連休が終わった頃に、いつものカメラショップにKENに相応しい価格と程度の(つまり格安極上の)EF70-200mm
F2.8L USMを探してもらうように依頼しました。しかし丁度その頃から突然玉不足になり、中古相場が一気に1万円以上値上がりしてしまいました。相場が下がった反動として、中古の人気が出てしまったからです。そのため、いつまで経ってもレンズが見つかりません。程度に物言わず、9万円台後半の値段を払う気なら稀にあるのですが、私の要求価格はそんな大金ではありません(^^;
中古は慌てず騒がず、良い巡り合いを待つべき、という持論を持っている私は、まさに慌てず騒がず、しかしちょっと焦りながら出物を待つことにしました。いつしか梅雨も過ぎ、夏休みになってもレンズは見つかりません。相場以前にキタ○ラの中古に出なくなってきたのです。稀に10万円前後の物件が出現しても、2時間程度で売れてしまうほどの足の速さ....東京帰省したときに○ップカメラやフ○ヤカメラあたりを散策してみても、程度の悪い物が9万円前後の値段を付けていました。私の基準には折り合いません。
そろそろコスモスの季節だなぁ...と思い始めた頃に相場が落ち着いてきました。そしてポツポツ中古物件も出現するようになりました。
8月の末にレンズ入荷の知らせがカメラショップからありました。ようやくEF70-200との御対面です。撮影スポットに行けば多くの人が持っているレンズですが、永らく待たされたので、まるでレア物を探し当てたときのようなドキドキ感がありました(笑)。店頭でレンズをチェックすると、レンズ、外観ともに綺麗です。ケースは新型の白いソフトケース、しかしフードは旧型の非植毛タイプ。レンズマウント部の記号を解読すれば1999年製との事なので、比較的新しいレンズです。店頭では特に問題が無かったので、このレンズを購入しました。価格は税込みで8万円台です。実際にはシグマのレンズを下取りに出したので、この金額よりも少ない支払いでした。
大事件:Lレンズでプラネタリウムをどうぞ
レンズを購入してから10日程経った日にとんでもない事件が起きました。つぶやき160にも書きましたが、夜、オートドライからレンズを取り出して前後キャップを外し、何気なくレンズの中を覗き込んだのです。店頭チェックではとても綺麗に見えましたので、当然綺麗なレンズが見えることを期待していました。しかしズームリングを200mmに合わせて蛍光灯にレンズをかざして中を見ると、信じられない光景が....レンズのなかに無数の小さな気泡が見えたのです。それも一枚ではなく、目の焦点の合う範囲のレンズ3〜4枚全てのガラス部全域に、星空を見ているかのような気泡が見えました。ソーダ水を軽く泡立ててから固めて作ったレンズが見えた、といえば想像出来ますでしょうか?こんな事が有るのか?と思って手持ちのレンズを何本かチェックしましたが、こんな気泡持ちのレンズは他にありません。
私はかなり動転しました。小さな埃の一つ二つなら「これぐらい撮影には影響ないさ」と自分自身に言い聞かせるところですが、そう言い聞かせようと思っても、元物理屋の私にこの数千とも数万とも思える数の気泡が「撮影に影響ない」と思えるわけがありません。私はちょっと冷静になり「光子の大きさは限りなく小さい。光子にとってこの小さな気泡は屈折/乱反射するのに十二分に大きい。一見透明に見えるレンズだけど、この気泡だらけのレンズが3〜4枚重なっているということは、散乱の断面積(←核物理学用語です、スミマセン)は下手したら1%ぐらいあるんじゃないか?1%程度の光が乱反射を起こす..こりゃ、ソフトレンズだぞ〜。Lレンズってソフトレンズの事だっけ??そんな訳は無いっ!」
私はすぐにカメラショップにメールを打ち、次の週末にレンズを持って赴きました。返品するためです。ちょっとビックリしたカメラショップの店員も、私の指示に従って改めてチェックすると「こりゃひどいですね」との言葉。すぐに返品&代替レンズの探索となりました。折しも彼岸花の盛りの週末の事です(従って今年の彼岸花は70-200mm
F2.8では撮影していません)。
代替品も問題あり
彼岸花、コスモス、霧と撮影対象の豊富な季節に突入している時の出来事でしたので、私はカメラショップに超特急で代替品を探してもらうように頼みました。運良くその週には中古の出品が沢山あり、カメラショップはめぼしい物を二本私のために取り寄せました。次の週末、またまたレンズチェックです。
二本の内の一本は黒い革ケースと旧型非植毛フードが附属したレンズで、仕入れ元のつけた売価はかなり高めでした(但し今回は代替品という事で、前回と同じ条件で販売する約束になっています)。マウント部の記号を見れば、製造は1997年という事で、かなり古目....外観はまあまあ綺麗な部類ですが、レンズの方はABと言うにはちょっと甘めかなと思うぐらいの埃の混入がありました。しかし、念入りなるチェックの結果、カビのある事が判明。黒いシルエットに見えるカビではなく、レンズ表面をヒビの様に這う薄いカビでした。これで、こちらのレンズは脱落。
もう一本は予め「ゴミあり」と書かれたBランクのレンズ。見れば最後群レンズのすぐ裏側(一見表面と見間違う場所)に1mmφぐらいの白い大きなゴミが付いていました。これはレンズ鏡筒の塗料片と思われ、使用過程で外部から埃を吸い込んだというよりも、製造時の部品の品質管理不良(清掃不足)で付いた物の様です。こちらのレンズはマウント部の記号を解読すれば、製造は2000年末。まだ丸二年経っていません。フードはもちろん新型の植毛タイプ、ケースも新型の白いソフトケースです。外観はとても綺麗で、三脚座にスレひとつありません。Bランクのこのレンズは仕入れ元の付けた売価がとても安く、私が一本目に買った時に支払ったお金でかなりのお釣りがきます。最後群レンズの白いゴミ以外は極上と呼べるこのレンズにとても惹かれて、私はメーカー清掃後渡しで前回と同額という条件でこちらのレンズの購入を決めました。
...しかし、メーカー清掃の為に更に二週間レンズが使えません。結局、彼岸花、コスモスの撮影は70-200
F2.8無しで2002年を終えました。
二週間後、既に10月になった週末に、レンズに気泡のない(笑)、外観も綺麗なEF70-200mm
F2.8Lを入手しました。最初にカメラショップに依頼してから5ケ月、いろいろと紆余曲折ありましたが、製造から2年も経っていない傷一つ無い人気レンズを、定価の4割弱の価格で入手したのですから、まあ善しとしましょうか。
しかし、悩みは解消しなかったのです。
続く
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