前回つぶやきからの続きです。
SIGMA AF70-200mm F2.8EX HSMの逆光性能の弱さ(日の出、日没撮影時に太陽を画面内、画面付近に置いた時のフレア/ゴースト)を解消するつもり入手したCanon
EF70-200mm F2.8L USM。巷での(一般的な)性能評価は勿論バツグンで、これでダメなら後がない、という意気込みで買いました。つぶやき147「KENのレンズ選びの視点」でも語りましたが、最高級高性能レンズを買うというのは私のポリシーに反します(笑)。貧乏性の誇り(ん?埃か?)が傷つくというものです(^^;。実際、シグマからの買い換えを考えていた時には、より安価なトキナーや、旧型のEF80-200mm
F2.8Lの事なども考えました。しかし、もしトキナーや旧型EFで逆光性能に落胆したら、また買い換えを考えなければなりません。それなら同類レンズの中で最も評判の良い物を買った方がお金を失わずに済むかな、と考えたのです。EF70-200mm
F2.8Lで逆光性能がダメなら、もう諦めるしか無いですから。
しかし....結果的に良かったのか悪かったのか....逆光性能を諦める事になろうとは(涙)
レンズを入手した次の週末に、絵下山(えげさん)という広島市の南東部にある標高600m弱の山に日没撮影に行きました。そして日没を待っている間に、高度の低くなった太陽を相手に、EF70-200mmの逆光性能チェック。さあ、太陽をモノともせずにクリアなファインダーが見えるか....!?
と、EOS3のファインダーには、連凧の様な綺麗な一条のゴーストが。焦点距離を動かすと、その連凧は位置と大きさを変えますが、決して消えることはありません。そればかりか、焦点距離と太陽位置の加減でシグマでは見ることの出来なかった綺麗な赤、青、緑のゴーストまでご出座なさいました。本当に信号機を見ているかの様です。フレアの方も開放ではかなり多く、画面全体が白っぽくなっています。絞りを変えてプレビューをしても、このフレアはシグマの170-500mmとは異なり劇的には減りません。フレアを無くすにはF16以上まで絞らないと駄目なようです(それでも完全に抑制できたかどうかは未確認)。また絞り込んでもゴーストは(当然ながら)消えることはありません。
シグマ70-200mmのゴーストも酷かったのですが、EF70-200mmのゴーストも酷いです。EFの方がシグマよりも量的には少ないのでしょうけど、それは正に五十歩百歩。ゴーストは有るか無いかが大切で、明確なゴーストが見える以上、量や大きさは関係有りません。ゴーストの有るレンズでは作品製作の足を引っ張ります。ゴーストを活かす作品作りなら、むしろ多い方が良いかも知れないし...
その日、絵下山に日没がやってきました。本来ならEF70-200mm
F2.8LのKENデビューの日でしたが、念の為にレンズを向けるとやはりゴーストが...で、Lレンズはカメラバッグの中に消えて行きました。そして代わりにSIGMA
AF170-500mm F5-6.3を取り出し、太陽に向けると「おお、何というクリアなファインダー!」と感激を新たにしました。170mmだとEF70-200同様に有るものの焦点距離を300mm以上にすると殆ど存在しないゴースト。厳密に見れば300mmではまだ僅かにゴーストが認められますが、焦点距離を伸ばすと更にゴーストは減り、500mmでは(EF70-200mm
F2.8Lを付けたファインダーを覗いた人間にとって)完全なゴーストフリーといえる状態になります。開放のファインダーではフレアが見えていますが、これもF11でプレビューすれば四隅にホンの僅かに残る程度。F16なら完全に消えます。
結局、この日も日没はSIGMA AF170-500mm F5-6.3で撮影することになり、SIGMA
AF70-200mm F2.8EX HSMを持っていた時と同様にEF70-200mm F2.8Lはカメラバッグの中で眠ることになりました。
天下のLレンズが、なぜ廉価な500mmズームに負けるんだ!(独り言)
絵下山でチェックしたもう一つの性能も報告しておきましょう。そう、二線ボケです。SIGMA
AF70-200mm F2.8EX HSMで背景に木の枝の様な「線」があると盛大に発生した二線ボケ、実は友人のEF70-200mm
F2.8L USMを借りてチェックして、EFにも二線ボケ傾向の有る事を確認しています。今回はその再現...するとやっぱり有りました。ピントを比較的近距離(3m以内ぐらい)に合わせて、その背景(後ボケ)に木の枝の様な「線」があると見事な二線ボケになります。焦点距離を変えても二線ボケは直りません。従って花などをアップで狙うには辛いレンズと言えましょう。但しシグマはもう少し遠方にピントを置いても出た気がします。EFの場合には5mよりも遠方にピントを合わせると二線ボケは目立たないようです。
絵下山から帰宅後、インターネットでEF70-200mm
F2.8Lの逆光性能の事を調べてみました。すると幾つかのサイトや掲示板でやはり「逆光に弱い」という記述を見つけました。見事なゴーストの写っている作例まであります。アメリカのサイトでも同様で、EF70-200mm
F2.8L/F4Lは逆光に弱い、ゴーストが出やすいとの記述が幾つかありました。これらのサイトでは共通して、EF400mm
F5.6LやEF300mm F4L(ISでは無い方)の逆光性能が素晴らしいとも書いてありました。これらのLレンズは単焦点の中でもレンズ構成枚数が少ない(400mmは6群7枚、300mmは7群8枚)ので、逆光には強いのでしょう。「太陽に向けてもゴーストフリーだ」と書いてあるサイトもありました。しかし400mmも300mmもシグマ170-500でゴーストが殆ど無しにカバーできる領域なので買う意味がありません。EF200mm
F2.8LやEF135mm F2Lが必要なのでしょうか???これでは機材欲しい病が益々悪化してしまいますね。
う〜ん、15群18枚(ISに至っては18群23枚)というレンズ構成が恨めしく思えてきました。
逆光性能の弱さについては後日談もあります。
別の日に、掛頭山に日の出撮影に行き、EF70-200mm
F2.8Lを使いました。太陽は画面内に入れないようにして出来るだけゴーストやフレアを出さない様にしましたが、出来上がったポジにはゴーストとフレアが....う〜ん(--;
更に別の日に、紅葉撮影に行ったときの事です。午後3時ぐらいになって、太陽が西の空に傾きかけた頃に民家の手前にある紅葉が、屋根の暗い背景を前に逆光を浴びて綺麗に輝いていました。そこで早速EF70-200mm
F2.8Lで構図作り...しかし、太陽が画面内に無いにも関わらず盛大なフレアが発生しました。シグマ70-200よりも酷いんじゃないの?と思えるほどに真っ白です。そこでプレビューをしながら絞りを変えてみました。このフレアはF16程度まで絞らないと減りません。そしてF16まで絞るとフレアが消えるのではなく、フレアの形状が小さな形になり見事なゴーストに化けました。この傾向は200mm側で顕著です。....う〜ん、う〜ん(--;
似たような焦点距離のSIGMA 180mm F3.5EX Macroに付け替えてみると、殆どフレアがありません。勿論ゼロでは無いのですが、開放で真っ白なEF70-200に対して、同じ開放でチョットしたスパイス代わりのフレアで、絞れば無くなります。結果的にその紅葉はSIGMA
180mm Macroで撮影しました。
私は何のためにEF70-200mm F2.8L USMを買ったんだろう?取り敢えず70-200mm
F2.8のレンズはこれ以上買い換えない、という為だけかなぁ(^^;;;
次回つぶやきでは、EF70-200mm F2.8Lの逆光時の写真サンプルをお見せしましょう。
続く
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