Canon PowerShot G2を買いました。既にPowerShot
G3が発売されて旧型になったカメラで、このカメラを紹介するサイトも沢山あり「今さら」ではありますが、このカメラについて色々と語ってみようと思います。ただ予めお断りしておきますが、私の評価はデジカメに詳しい人が「現在のデジカメ相場/水準」を基準としてするものとは異なります。銀塩EOSに慣れ親しんだ男がそのサブカメラを買った、という視点で評価しています。 |
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1 購入動機と購入の物語
2年前のつぶやき(vol.75)に次のように書いたことがあります。
「私もデジカメをひとつ持っています。オリンパスD-320Lという一世代前の81万画素の単焦点コンパクトタイプのカメラです。(中略)このカメラはつぶやきにレンズやアクセサリーなどの写真を掲載するために使っています。その目的の範囲では大きな不満はありまんので、当面買い換える予定もありません。
」
しかし、このカメラに大きな不満が出てきました。時代遅れの画素数や画質ではありません。ストロボです。機材撮影はマクロで至近距離からの撮影になりがちですが、内蔵ストロボしか使えないカメラの場合は真正面からダイレクトに照射するために、機材の一部が真っ白に光ってしまい、まともな写真になりません。ストロボにトレーシングペーパーなどで光を拡散することも試みましたが、拡散した光がレンズにダイレクトに入射してしまい、盛大なフレア&ゴーストを発生してしまいました。おまけにD-320Lの設計不良だと思うのですが、マクロモードでのストロボ調光がかなりアンダー気味で、まともな画像を殆ど得ることが出来ません。
それで外部ストロボが使えるデジカメが欲しくなりました。用途が作品撮影ではなく、つぶやき掲載写真の撮影なので画素数には拘りません。EOS用のストロボを持っていますので、それが使えるデジカメが便利です。もちろん、価格は可能な限り安く(^0^)、出来れば2万円以下が目標でした。
EOS用のストロボが使えるデジカメは、デジタルEOSを除くと、パワーショットGシリーズと、PRO90ISの2系統しかありません。これらデジカメはレンズ交換出来ないタイプの中ではハイエンドモデルであり、定価は10万円を大きく上回るために中古でも安くありません。それに電池は私の嫌いな専用リチウムイオンバッテリーで(その理由はつぶやき117を参照下さい)。、一個8000円(定価)もするものを要求します。予備バッテリーをカメラ使用中に充電するための充電器も専用になり18000円(定価)もします。単三ニッケル水素電池を用いるカメラなら、夫々1000円〜1600円/4本と2000〜3000円程度(実売)で入手できます(というより既に持っています)から、パワーショットシリーズは出来ることなら手を出したくないカメラです。
単三ニッケル水素電池を用いて、外部ストロボの使えるオリンパスとかニコンのデジカメも考えてみたのですが、外部ストロボの購入コストが高くつくので諦めました。EOS用ストロボの使える機材なら、2台のSpeedlite
550EXを初めストロボ関連アクセサリーを既に持っていますから、追加投資無しでワイヤレス多灯撮影や、オフカメラシューコードを用いた自由なライティングが出来るからです。同等の機材を別途揃えると、それだけでデジカメがもう1〜2台買えてしまいます。それで電池の面は妥協してキャノン・パワーショットGシリーズに狙いを定めました。
この考えに至ったのはパワーショットG1がまだ現行モデルの頃で、中古価格もかなり高いものでした(5万円台以上)。その後新モデルG2が発売されたので、G1の価格など直ぐに下がるだろうと思っていたのですが、一昨年末ごろから画素数拡大競争のスピードが鈍ってきたためか(コンパクトタイプは最近500万画素で頭打ちですね)、330万画素のG1も古くなっても十分な商品性があるのでしょう。その後1年ぐらい待っては見たものの、4万円をなかなか下回りません(なにせ目標価格は2万円です(笑))。
2002年11月頃に新モデルG3が発売され、やっと価格に動きがありました。G1の中古が3万円台前半になり、稀に29800円の物も出現しました。G2の方は強気な店と弱気な店で値段がばらつきましたが、安い方は4万円付近のものも出るようになりました。それで、2万円の目標は諦めて3万円前後で程度の良いG1があったら買おうかと思い始めたのです。但し、もし価格差が少なければG2の方が良いなとも思っていました。アメリカのサイトにG1のAFがかなり低精度であると書いてあったのと、G1はパソコン接続キットが別売りで(G2は標準添付)、これを別途買うと高くつくからです。
購入は1月のある日、朝4時半起きで雪景色撮影に出かけた帰り道、PKRの現像を出しにT町に行った時の事です。ショーウィンドウには入荷したてのG2が値札も無く置かれていました。それで早速A澤さんを呼んで見させてもらいました。元箱付属品完備、保証書付き(残り3ヶ月)の極上品です。作動チェックをしましたが、問題ありません。A澤さんに価格を聞けばG1の平均的な中古価格を提示しました。それで間髪入れず「じゃ、持って帰ります。あ、税込みでね(笑)」と告げました。G2の相場からすれば1〜2万円安い価格なので、「税込みでね」という言葉にA澤さんも息を詰まらせていましたが、無事その価格で入手しました(笑)。
2 第一印象:多機能、高画質、史上最低の光学ファインダー
自宅に帰って早速テスト撮影してみましたが、さすがに高画質ですね。内蔵ストロボを使って室内を撮影しても、調光は正確で、レンズの解像度も良好で細部まで階調を保ちつつ良く描写しています。最近の製品だけあって、手持ち撮影出来る範囲の明るさであれば、シャドー部にもノイズは特にありません。何よりデフォルトの発色が自然で階調重視になっており、レタッチの必要が殆ど無い事はハイエンド・コンパクトデジタルの風格を感じさせます。撮影機能もマニュアル、シャッター優先AE,絞り優先AE,プログラム(シフト付き)、露出補正、調光補正、ワンタッチスポット測光、AFポイント選択、マニュアルフォーカスなどフルメニューです。取扱説明書も比較的厚くて、全ての機能を覚えるのには苦労するほどです。
液晶モニターは水平方向に180度、ひねり方向に270度の範囲で回転でき、いかなる撮影アングルでも快適なファインダー像を得ることが出来ます。更に撮影後の画像の部分拡大やヒストグラム表示も出来るので、ピントや露出のチェックに実用的な機能を提供しています。
この様に第一印象はすこぶる良好ですが、一つだけ絶対に許せない部分がありました。光学ファインダーです。丸30年以上のカメラ経験の中で、これほど酷いファインダーは見たことが無く、使い捨てカメラの方が100倍見やすいものになっています。理由の第一は悲しいほど小さな覗き穴であることに加えて、光学系精度が玩具以下で、点光源が二つに分離して見えます(乱視光学系の様です)。第二はファインダーには視度調節機能がついていますが、このレバーが収納時に動きやすいことに加えて、ズーミングで視度が動くのです(視度調節レバーが動くのではなく、光学的に動いてしまいます)。だからいつもピンぼけの情景しか見えず、撮影には使えません。
今まで原始的なデジカメしか持っていなかったので、最近のデジカメの機能などを細かいところまでは理解していませんでしたが、こうして実際に(ほぼ)最新のデジカメを手にして使い出すと、様々なことが見えてきます。米国にある各種デジカメのレビュー記事(日本とは異なり、提灯記事もなく、分析評価は微に細に渡り徹底的)も全て理解できるようになりました。これから先は米国のレビュー記事の内容と重ね合わせながら、G2を語ってみましょうか(笑)。良好だった第一印象も大分変化しましたので(笑)。
3 デザインと大きさ
キャノンがデジカメのレンズの位置に拘った(決してボディの隅に持ってこない)だけあって、カメラらしいデザインをしています。シャンパンゴールドの色合いも私好みで、G1のグレーに比べて高級感が漂います。レンズは沈頭式で収納時はコンパクトです。この点ではレンズが分厚くなったG3よりも便利です。標準状態ではちょっと大きめの35mmコンパクトカメラというサイズで(120.9(幅)×76.6(高さ)×63.8(奥行き)mm、425g)、ポケットに入れることは無理ですが、カメラバッグのレンズ一本分の隙間に収まります。
G2でフィルターを使うためにはコンバージョンレンズアダプターを装着する必要があります。キャノン純正は先広がりの黒い筒で58mm径のフィルターネジがついていますが、これはかっこ悪い!で、米国であればLensmateのアダプター(49mm)、日本であればハクバのアダプター(43mm)を付けることがG2ユーザーの間で定番になっています。これらのアダプターはG2合わせのシャンパンゴールド仕上げで、フィルター径を小さくしてあるので筒が細身であり、カメラ本体のレンズとの一体感もあります(純正の58mmだと、大きな筒の中に小さなレンズが見えて可笑しい)。私は早速ハクバの43mmアダプターと、ハクバのシルバーフレームの43mmフィルターを購入しました。これを装着すると、レンジファインダーカメラの様な風合いになり、かなりカッコ良くなります。しかも可動式レンズが常に金属の筒で保護されますので、華奢なレンズ部を壊す心配が減りますし、カメラを構えたときにレンズ部分を持つことが出来る様になるので、とても実用的です。小さな欠点は光学ファインダーの下部が少しけられるのと、広角端で内蔵ストロボを使うと、画面右下に影が出来ることでしょう。この影響はどんなアダプターでも発生しますが、ハクバが最小径なので影響は最も小さくなっています。G1/G2ユーザーならハクバのアダプター装着がお奨めですが、但しコンバージョンレンズを使う場合にはレンズとの相性がありますから、別問題です(43mmアダプターでは広角コンバージョンが使えない)。私は全く使う気が無いので問題ありません。
ハクバのアダプターは内面が金属のままで光りますので、私は反射防止の為に天体望遠鏡を自作するときに貼る「植毛紙」を貼り付けました。フィルターの内枠が光るのはこれから処理する予定です。
ハクバのアダプターをつけたときのレンズキャップですが、種々検討した結果、見た目で一番良さそうなのがG2のキャップを使うことでした。そのままでは大きすぎますがキャップの裏側にコルクなどを貼り付ければ使えます。そうするとアダプターを使わない時のキャップが無くなるので早速T町からキャップを発注しようと思い、しかし胸騒ぎがしたので(キャノンの部品価格は非常識なことが多い)、事前に価格を問い合わせてもらいました。そしたらなんと2000円!何ら特殊な構造を持たない小径プラスチックキャップにこの値段とは、さすがのKENも怒り心頭に達して買いませんでした。代りにちょっと不細工ですが、ハンザの黒い43mmワンタッチキャップを200円で購入して取り付けました。
ハクバのアダプターをつけたG2に、茶系の本革ストラップをつけると「キマル」のですが、まだ買っていません。理由は気に入った本革ストラップが手ごろな値段で手に入らない事、そして革ストラップをつけると一層嵩張ることです。実用的でスタイリッシュなハクバのアダプターでさえ、カメラがT字型になってしまい、カメラバッグの中でレンズ付EOSと似たような空間占有度になってしまいます。EOSでの撮影や出張のお供にする場合にはアダプターを外し、小さな空間に収まる標準の状態にして持ち歩いているのです。出来れば本革ストラップも奢ってお気に入りスタイルで持ち歩きたいのですが...現在の私の悩みの一つです。
続く
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